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ABL(動産担保融資)とは

基礎知識・ノウハウ

M&A

資金調達において担保を求められる場合、はじめに候補に挙がるのは不動産であることが多いと思います。また、M&Aのシーンで考えた場合、LBO(Leveraged Buyout)では譲受予定の企業の将来キャッシュフローという目に見えない資産を担保にします。今回はそのどちらとも違う「動産担保」について考えてみましょう。

1.動産担保とは

ABL(動産担保融資/Asset Based Lending)においては一般的に、販売用在庫品・販売先への売掛債権・機械設備等の資産が担保として取り扱われます。アメリカでは1970年代には既にみられた手法ですが、日本では2005年に動産譲渡登記制度が創設されたことから一般的になり、2000年代後半から2010年代にかけて広まりました。

2.動産を担保にすることのメリット・デメリット

動産を担保にすることでどのようなメリットがあるでしょうか。まず、不動産を所有していない企業でも、事業規模に応じた融資を受けられる可能性がでてきます。また、不動産を所有している企業でも、動産も担保とすることにより、資金調達枠の拡大をはかることができます。また、無担保に比べて借入金利を抑制することができます。

逆に動産を担保とすることの難しさやデメリットは何でしょう。まず、担保となる動産や債権の評価が難しく、専門的な外部機関に頼る必要があるため、評価する際に追加でコストが発生することになります。また、そのステップを踏むための時間もかかります。融資後は担保となっている在庫の管理が必要になります。また、在庫を担保とするということは、借入金の返済金が困難になった場合に担保として在庫を差し入れ、資金化するために処分をされてしまうため、その場合は事業の継続が困難になります。

3.動産担保はどのようなシーンで使われているか

動産担保を資金調達に活用しているのはどのような企業、どのような場合が多いのでしょうか。まず、ベンチャー企業に代表されるように、拡大志向が強いため資金需要が旺盛なものの、不動産などの従来の担保を持たないという企業が挙げられます。このような企業は動産担保による融資に限らず、様々な資金調達方法を検討する傾向にあります。

また、伝統のある企業でも、一時的に業績が悪化し追加の資金繰りが必要となったときに、ABLが検討されます。不動産は既に別の融資の担保としている場合があり、別の資金調達の方法として動産担保を検討することが多いようです。

ほかには、商品を仕入れてから販売するまでの期間が長い企業は、必然的に在庫が多くなる傾向にあるため、動産担保を取り入れやすいです。また、機械設備などの規模が大きく、高価な設備を使用している企業は、設備の担保価値が高いため、この場合も動産担保が取り入れやすくなります。

4.動産担保の例

では、どのような在庫商品が実際に担保資産として扱われているでしょうか。身近なものでは衣服や家具、保存のきく酒類・穀類などが扱われますし、中古車販売会社で扱う中古車両なども担保とすることがあります。また、木材や鉄材等を担保とする例もあります。

意外な例では、家畜である「牛」も動産担保として扱われる資産です。生き物は商品となる前に病気になったり死んでしまったりする可能性もあり、一見担保としては扱いにくいように思います。しかし、もし担保の現金化が必要になった場合には地元の畜産農業協同組合が引き受けるという取り決めを受けてくれやすいこと、飼育の際にかかる飼料代を積み上げていくことで簿価が計算しやすいことから、担保価値のブレが少なく評価しやすく、仕入れから出荷までの期間が約2年と長いことから運転資金調達のニーズも発生しやすいためよく活用されるようです。

執筆者
デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社
イノベーション事業部 FAプラットフォーム
アナリスト  日野原 未葉

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