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はじめてのM&A業務でも安心な「いっしょにFA」の活用方法

基礎知識・ノウハウ

M&A

今日では、M&Aに関する書籍は数多く出版され、インターネットでも基本的な知識を学ぶことができます。また、研修やセミナーにおいては、より実務に近い内容で学ぶことができます。

デロイト トーマツにおいても、案件組成からM&A取引事項まで実務に沿った内容でM&A業務を学べる「M&Aプロフェッショナル養成講座」をe-ラーニングで提供しており、多くの方々に受講いただいています。

M&Aプロフェッショナル養成講座にご興味のある方はこちら

しかしながら、書籍や研修・セミナーでしっかりM&A業務を学んでいる方でも、実際にクライアントからM&Aの相談があった場合、一抹の不安を覚える方が多いと感じています。それは至極当然なことだと思います。M&A業務を学ばれた方だからこそ、実務の大変さを前もって感じてしまうことでしょう。

M&Aプラスのサービス「いっしょにFA」は、売却案件に限定しておりますが、M&A業務に精通した会員と、ともに実務を行うことができる制度です。つまり、M&A業務のOJTであり、プロフェッショナルと並走しつつ、実務を通じてM&A業務を学べる機会を得ることができます。

M&A業務を始めるうえで、まずはM&Aの流れを理解し、自分自身が「できること」・「できそうなこと」・「できないこと」を整理することが、はじめの一歩となります。

最初から全ての業務をできる必要はないのです。「できそうなこと」・「できないこと」は、プロフェッショナルから実務を通じて学んでいくように、割り切って考えることも大切です。

1. M&A業務の流れ

図表1 セルサイドFAのM&A業務プロセス例

図表1は、セルサイドFAにおけるM&A業務プロセスの一例を示しております。M&A業務を始めようとお考えの方でしたら、ざっとプロセス例に目を通していただいても、ご自身で「できること」・「できそうなこと」・「できないこと」がわかるかと思います。

FAとは、ファイナンシャルアドバイザー(Financial Adviser)の略で、M&Aにおいて総合的な助言を行い、案件を進める役回りです。

企業価値算定(Valuation)、ティーザー・企業概要書(IM:Information Memorandum)作成や秘密保持契約書(NDA:Non-Disclosure Agreement)・最終契約書(DA:Definitive Agreement)作成などにおいては、会計、税務、法務など専門的な知識や資格などが必要になります。

また、売手とのコミュニケーションや相手方との条件交渉など対人スキルも求められますので、M&A業務の内容は多岐にわたります。そのため、必要に応じて各プロフェッショナルに業務を委託することも検討すべきです。

特にデューデリジェンス(DD:Due Diligence)の場合は、財務DD・税務DD・法務DD・ビジネスDD・人事DD・IT DD・環境DD・不動産DDなど高い専門性が求められるため、各プロフェッショナルに頼らざるをえません。

2. M&A案件の発掘方法

オリジネーション(Origination)とは、M&A案件の発掘のことであり、売手・買手とのマッチングやクライアントへの提案が含まれます。エグゼキューション(Execution)とは、M&Aにおける一連の手続きを実行・管理することをいいます。

特にM&A案件の発掘では、経営者との距離が近い会計事務所などに強みがあります。

では、どのようにしてM&A案件を発掘すべきでしょうか。

それは業界・業種問わず、共通の経営課題である事業承継を切り口するべきです。

図表2 事業承継から考えるM&A(第三者承継)

事業承継と聞くと多くの方は、「親族内承継」を思い浮かべるのではないでしょうか。図表2のフローチャートで示している通り、そのほかに「社内承継」、「M&A(第三者承継)」があります。

通常は「親族内承継」、「社内承継」、「M&A(第三者承継)」の順に事業承継を考えていきます。親族内・社内に後継者がいなければ、後継者不在型M&Aとして話が進むことが大半です。

一方で、クライアントが「親族内承継」、「社内承継」を選択する場合、「M&A(第三者承継)」とは無縁なのでしょうか。

対象会社が事業を複数展開する場合や子会社がある場合は、「M&A(第三者承継)」の可能性はあります。特に、本業との関連性がない、または薄い事業や子会社は、「M&A(第三者承継)」の対象になりやすいといえます。

本業との関連性を見極めて、それらの事業や子会社の売却を提案し、本業へ再投資するように経営者へ助言することも、経営サポートの役割を担う方々にとっては大切なことといえます。

3. はじめてのM&A業務でも安心なM&Aプラス「いっしょにFA」の活用方法

M&A案件を発掘できましたら、「いっしょにFA」の出番です。

なお、M&Aプラス「いっしょにFA」をご利用される際には、M&Aプラスのスタンダード会員または、プロフェッショナル会員のご登録が必要になります。

図表3 M&Aプラス「いっしょにFA」の流れ(共同FAパターン)

「いっしょにFA」の利用イメージは以下の通りです。

(1) クライアントから売却ニーズをヒアリング、M&Aプラスに売却案件登録

(2) 「いっしょにFA」で、M&A業務をともに行うプロフェッショナルを選定

(3) 業務内容などに応じて、クライアント・プロフェッショナル間で契約締結

(4) プロフェショナルとともにM&A実務・クライアント対応

(5) プロフェショナルとともに最終契約締結、クロージング

(6) クライアントから成約手数料受取後、M&Aプラスへ利用料支払

図表3にも示しているように、プロフェッショナルと並走しながら、M&A実務を通じてM&A業務を学ぶことができます。

一方で、本業の繁忙期と重なってしまいマンパワーが不足しているなどの理由で、M&A業務には一切関与できないこともあるかと思います。

その場合は、クライアントとプロフェッショナルと相談しつつ、図表4のようにプロフェショナルにM&A業務を託しても良いと思います。

図表4 M&Aプラス「いっしょにFA」の流れ(紹介パターン)

M&A業務は多岐にわたるため、最初からすべての実務に携わる必要もありません。

「できること」・「できそうなこと」・「できないこと」を明確にして、まずは「できること」を積極的にやりましょう。特に売手となるクライアントとの調整役はとても大切です。そのうえで、「できそうなこと」をプロフェッショナルから教わりつつ、業務に支障のない範囲でM&A実務を通じて学んでいくことを推奨します。

「いっしょにFA」でM&A業務をある程度経験し、「できること」の範囲を広げていいただけますと幸いです。

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執筆者
デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社
イノベーション FAプラットフォーム
シニアアナリスト 三枝 真也

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