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令和2年度(2020年度)診療報酬改定にみる薬局M&A(前編)

基礎知識・ノウハウ

M&A

医療の進歩や経済状況に鑑み、診療報酬・薬価基準は原則2年に一度のペースで改定されることとなっており、これを「診療報酬改定」と言います。また、薬価については2021年度から毎年改定されることになります。診療報酬や薬価が引き下げになれば、当然薬局の売上高に影響しますので、薬局業界再編のひとつのきっかけになりえます。
診療報酬とは、医療機関や薬局が保険医療サービスの対価として保険者から受け取る報酬です。薬価とは、国によって決定される医療用医薬品の公定価格です。

1. 診療報酬改定までの流れ

診療報酬改定は、図表1で示すように大きく分けて3つのプロセスを経て決まります。

図表1 診療報酬改定の流れ

まず厚生労働省は「医療経済実態調査」により、病院、診療所(含む歯科)、薬局の医業経営等の実態を把握し、これらの情報が基本資料となり、内閣が診療報酬の改定率を決めます。

次にその改定率を前提とし、社会保障審議会(医療保険部会、医療部会)が、診療報酬改定の基本方針を策定します。

そしてその基本方針に基づき、中央社会保険医療協議会が、具体的な診療報酬点数の設定等における審議を行います。

以上が一連の流れになります。次に令和2年度(2020年度)診療報酬改定の具体的な内容を確認しましょう。

2.令和2年度(2020年度)診療報酬改定の概要

【Step1】 内閣による医療費総額の決定

令和2年度(2020年度)の診療報酬改定率は、2019年12月17日の予算大臣の折衝を踏まえて決定しました。

診療報酬(全体)は0.55%の引き上げで、うち消費財財源を活用した救急病院における勤務医の働き方改革への特例的な対応が0.08%上積みされました。

診療報酬(調剤)は0.16%の引き上げに対して、薬価は0.99%、材料価格は0.02%の引き下げとなりました。

図表2 診療報酬改定率

図表2は過去の診療報酬改定率になりますが、診療報酬は引き上げ傾向にあり、薬価・材料価格は引き下げ傾向にあります。厚生労働省「調剤医療費(電算処理)の動向」のデータを見ると、調剤医療費の内訳は、薬剤料が約3/4、技術料が約1/4の構成になっています。そのため、薬価の引き下げが、薬局のマーケットにおいて、マイナスに作用することになるといえます。

図表3 処方箋枚数と1枚当たりの調剤医療費

図表3をご覧ください。処方箋枚数は増加傾向にありますが、その増加率は鈍化しています。

診療報酬改定における薬価の引き下げもあり1枚当たりの調剤医療費は増減を繰り返しています。平成28年度(2016年度)の薬価改定率▲1.22%に対して、1枚当たりの調剤医療費は▲5.53%です。平成30年度(2018年度)の薬価改定率▲1.65%に対して、1枚当たりの調剤医療費は▲3.64%です。

令和2年度(2020年度)診療報酬改定においても、薬価改定率▲0.99%とマイナスであり、今後も1枚当たりの調剤医療費は減少する傾向にあると考えられます。つまり、薬局は処方箋枚数を増やすことができなければ、減収となる可能性が高くなります。

しかしながら、1日平均取扱処方箋数が40枚(耳鼻科、眼科、歯科の処方箋は2/3を乗じて計算)につき、薬剤師1名を配置する必要があるため、処方箋枚数の増加にも限界があります。特に人員確保の難しい薬局においては、大手・中堅薬局へのM&Aも選択肢のひとつとして考えられます。

【Step2】 社会保障審議会による医療政策の方針決定

社会保障審議会は、厚生労働省の諮問機関のひとつで、厚生労働省設置法第6条第1項に定められています。社会保障審議会は、分野ごとに分科会および部会が置かれており、医療保険部会・医療部会診が療報酬改定に係る「基本方針」を策定します。

令和2年度(2020年度)診療報酬改定の基本方針(2019年12月10日)おいて、薬局に関する内容として、以下のような記載があります。

「患者に対する薬物療法の有効性・安全性を確保するため、服薬情報の一元的・継続的な把握とそれに基づく薬学的管理・指導が行われるよう、かかりつけ薬剤師・薬局の評価を推進。その際、薬剤調整などの対物業務から、薬学的管理などの対人業務への構造的な転換を推進するための所要の重点化と適正化を行う。」

また、2018年6月15日閣議決定された内閣府「経済財政運営と改革の基本方針2018」において、「患者本位の医薬分業を実現し、地域において薬局が効果的・効率的にその役割を果たすことができるよう、調剤報酬の在り方について引き続き検討する。」とあります。

以前より医薬分業が形式的な分業にとどまっている状況に鑑み、今回の基本方針においては、その課題を解消すべく、「かかりつけ機能の評価」と「対物業務から対人業務への構造的な転換」にポイントが置かれた内容になっていると考えられます。

【Step3】中央社会保険医療協議会による医療費配分の決定

中央社会保険医療協議会は、厚生労働省の諮問機関のひとつで、厚生労働省設置法第6条第2項に定められています。中央社会保険医療協議会は、公益委員(学者)、診療側委員(医師)、支払側委員(健保組合)の3者で構成され、社会保障審議会で決定された「基本方針」に基づき審議します。

中央社会保険医療協議会 総会(第445回、2020年1月15日)において、令和2年度診療報酬改定について諮問が行われました。

図表4 令和2年(2020年)診療報酬改定のポイント

図表4は、令和2年度(2020年度)調剤報酬改定のポイントです。「かかりつけ機能の評価」、「対物業務から対人業務への構造的な転換」のほかに「在宅業務の推進」、「ICTの活用」、「後発医薬品の利用推進」、「残薬への対応推進」もあり、患者に対する医療の質を向上させる内容が中心となっています。中編では、具体的な診療報酬点数について説明します。

執筆者
デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社
イノベーション事業部 FAプラットフォーム
シニアアナリスト 三枝 真也

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