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調剤医療費から考える薬局のマーケット(後編)

2020/06/29
M&A

前編では、調剤医療費と薬局数の推移から薬局のマーケットを考察してきました。後編では、薬局のマーケットが拡大している要因のひとつとして、「国内の高齢化」を切り口に考えていきます。

3. 国内の高齢化が与える薬局のマーケットへのインパクト

図表6 直近10年日本国内総人口の推移

日本は「国内の高齢化」に端を発した様々な問題を抱えていますが、調剤医療費においても例外ではありません。図表6をご覧ください。

2010年から日本国内の総人口は減少傾向にありますが、65歳以上が占める割合は年々高まっています。現在では4人に1以上が、65歳以上ということになります。では、65歳以上の方々が、調剤医療費において、どのくらいの割合を占めるのでしょうか。

図表7をご覧ください。今回は年齢別の推移を確認するために「薬局調剤医療費」のデータを使用します。

「薬局調剤医療費」は、厚生労働省の用語説明において「処方箋により保険薬局を通じて支給される薬剤等の額(調剤基本料等技術料と薬剤料の合計)」とされており、前編で使用した「調剤医療費」とは定義がやや異なります。

図表7 直近10年薬局調剤医療費の年齢別推移

薬局調剤医療費は年々増加傾向にあり、2017年では7兆8,106億円です。内、65歳以上は4兆5,523億円と、全体の半分以上を占めています。

薬局の運営からすると、いかにして高齢患者を取り込めるかが重要であるとも言えます。薬局M&Aを検討する際には、対象となる所在地の人口動態にも注意しなければなりません。

4. 年齢別の推移から読み解く調剤医療費

図表8 直近10年人口一人当たり薬局調剤医療費の年齢別推移

次に、年齢別の人口一人当たり薬局調剤医療費から、考察していきます。

図表8をご覧ください。人口一人当たり薬局調剤医療費においては、64歳以下は全体の平均を下回っており、65歳以上が平均を押し上げている構造になっています。

また、年齢問わず年々薬局調剤医療費は増加傾向にあり、高齢化のほかに調剤医療費増加の一因になっていると考えられます。

次に年齢別の処方箋1枚当たりの調剤医療費(単価)を確認します。図表9をご覧ください。

図表9 直近10年年齢階級別処方箋(電算処理分)1枚当たり調剤医療費の推移

全ての年齢において処方箋1枚当たりの調剤医療費(単価)が、上昇傾向にあることを確認できます。

図表9では、全体平均以上の数値に対して色付けしていますが、50歳前後から平均値を超えはじめます。

また高齢者のなかには複数の疾患を抱えて、症状毎の医療機関にかかる多科受診が増えるため、処方箋1枚当たりの調剤医療費(単価)とともに処方箋枚数(数量)も増える傾向にあります。

高齢者の医療費が全体の半分以上を占める原因は、薬を処方される回数が多いことに加えて、処方される薬の種類や数量が多いことによるものだと考えられます。

では、今後高齢化が進めば、薬局のマーケットはそのまま拡大していくのでしょうか。

薬局のマーケットを考えるうえで、注意しなければならないことは、日本の財政状況です。社会保障費、医療費の増大が日本の財政に大きな負荷を与えているなかで、薬局のマーケットが伸び続けるとは必ずしも考えにくく、減少へ転じる可能性も大きいと考えられます。そのような状況下で、薬局業界の再編がますます加速する可能性があります。

また、薬局業界では依然として中小規模の薬局が主流です。このような状況も薬局業界の再編を後押し可能性があります。2018年の薬局数は59,613か所(出所:厚生労働省「平成30年度衛生行政報告例」)、身近な存在のひとつであるコンビニエンスストア数が55,743店舗(出所:一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会「コンビニエンスストア統計調査月報2018年12月度」)です。薬局数はコンビニエンスストアの数を上回っており、その数の多さを実感いただけるかと思います。

次回は、その調剤医療費に影響を与える診療報酬改定について説明します。

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