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薬局M&Aに必要な基本知識(後編)

2020/06/08
M&A

前編では、主に薬局の定義とその他の業態について説明しました。後編では、薬機法の観点から薬局における理解を深めたいと思います。本コラムだけでは薬機法を網羅することはできないので、ポイントを絞って説明します。

4. 薬局開設における薬機法のポイント その1「薬局の管理」

薬局の開設は薬剤師にしかできないのでしょうか。「薬局の管理」について見てみましょう。

薬機法第7条第1項には、「薬局開設者が薬剤師(中略)であるときは、自らその薬局を実地に管理しなければならない。ただし、その薬局において薬事に関する実務に従事する他の薬剤師のうちから薬局の管理者を指定してその薬局を実地に管理させるときは、この限りでない。」とあります。

また、薬機法第7条第2項においては、「薬局開設者が薬剤師でないときは、その薬局において薬事に関する実務に従事する薬剤師のうちから薬局の管理者を指定してその薬局を実地に管理させなければならない。」とあります。

薬局開設者には薬剤師以外の方もなれますが、そのためには他に管理薬剤師を指定して実地に管理する必要があります。つまり、薬剤師を確保する必要がある点に、薬局M&Aを検討する際には注意が必要です。

5. 薬局開設における薬機法のポイント その2「開設の許可」

「開設の許可」については薬機法第4条第1項に記載があり、「薬局は、その所在地の都道府県知事(略)の許可を受けなければ、開設してはならない。」とあります。

また、「許可の基準」においては薬機法第5条第1~3項に記載があり、構造設備基準、業務体制基準、人的基準の3つの基準が定められており、いずれかの基準を満たさない時は、「開設の許可」を与えないことができるとされています。具体的な内容を確認しましょう。

① 構造設備基準

薬機法第5条第1項には「その薬局の構造設備が、厚生労働省令で定める基準に適合しないとき」とされています。

「厚生労働省令で定める基準」とはどのようなものなのでしょうか。面積に関する基準を例に挙げると以下の通りです。

「面積は、おおむね一九・八平方メートル以上とし、薬局の業務を適切に行うことができるものであること。」

「次に定めるところに適合する調剤室を有すること。六・六平方メートル以上の面積を有すること。」

つまり、従来よりも効率的な配置でコンパクトな運営が可能になったとしても、この条件を満たさなければなりません。この他にも、様々な基準が設けられています。その他の詳細を知りたい方は、「薬局等構造設備規則(昭和三十六年厚生省令第二号)」をご覧ください。

② 業務体制基準準

薬機法第5条第2項には「その薬局において調剤及び調剤された薬剤の販売又は授与の業務を行う体制並びにその薬局において医薬品の販売業を併せ行う場合にあっては医薬品の販売又は授与の業務を行う体制が厚生労働省令で定める基準に適合しないとき。」とされています。

ここでも「厚生労働省令で定める基準」とありますが、処方箋に関する基準を例に挙げると以下の通りです。

「当該薬局において、調剤に従事する薬剤師の員数が当該薬局における一日平均取扱処方箋数(前年における総取扱処方箋数(前年において取り扱った眼科、耳鼻咽喉科及び歯科の処方箋の数にそれぞれ三分の二を乗じた数とその他の診療科の処方箋の数との合計数をいう。)を前年において業務を行った日数で除して得た数とする。ただし、前年において業務を行った期間がないか、又は三箇月未満である場合においては、推定によるものとする。)を四十で除して得た数(その数が一に満たないときは一とし、その数に一に満たない端数が生じたときは、その端数は一とする。)以上であること。」

つまり、1日平均取扱処方箋数が40枚につき、薬剤師1名を配置する必要があります。耳鼻科、眼科、歯科の処方箋は2/3を乗じて計算になるため、最大60枚になります。例えば、従来よりも処方箋の処理時間を短縮することが可能になったとしても、これらの条件を満たさなければなりません。その他の詳細を知りたい方は、「薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令(昭和三十九年二月三日厚生省令第三号)」をご覧下さい。

③ 人的要件

薬機法第5条第3項には「申請者(申請者が法人であるときは、その業務を行う役員を含む)(中略)が、次のイからへまでのいずれかに該当するとき。」とされています。

イ. 第75条第1項(許可の取消し等)の規定により許可を取り消され、取消しの日から三年を経過していない者

ロ. 第75条の2第1項(登録の取消し等)の規定により登録を取り消され、取消しの日から三年を経過していない者

ハ. 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった後、三年を経過していない者

ニ. 薬機法、麻薬及び向精神薬取締法、毒物及び劇物取締法その他薬事に関する法令で政令で定めるもの又はこれに基づく処分に違反し、その違反行為があった日から二年を経過していない者

ホ. 成年被後見人又は麻薬、大麻、あへん若しくは覚醒剤の中毒者

ヘ. 心身の障害により薬局開設者の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの

人的要件に関しては、構造設備基準や業務体制基準と比べて理解しやすいかと思います。

6. 薬局M&Aのポイント その2「薬機法の内容を理解すること」

「薬局の管理」においては、薬局M&Aを検討するうえで薬剤師の確保が大切になります。特に小規模の薬局においては、オーナーがその薬局の薬剤師を兼ねているケースも多く、売却を機に引退されることが考えられます。その際には、後任の薬剤師を確保する必要があるため、買手企業側に人員の余裕がなければ、採用コスト等を勘案した価格で交渉しなければなりません。

「薬局の開設」においては、色々な制約を受けることをご理解いただけたかと思います。コスト削減のためにスペースを減らすことや売上を伸ばすために薬剤師一人当たりの処方箋枚数を増やすにも、この基準を守ったうえで実施する必要があります。つまり、M&AにおけるPMIを考えるうえでも、業績に影響を及ぼす基準をしっかりと把握しておくことが大切です。

7. 薬局M&Aのポイント その3「薬局の収入構造を理解すること」

薬局の収入の多くは調剤の売上であり、これは一般の商品やサービスと異なり、調剤報酬として点数が定められています。診療報酬は大きく①調剤基本料(処方箋受付1回ごとの基本料金)、②調剤料(調剤に対する料金)、③薬学管理料(薬剤師の専門スキルに対する料金)、④薬剤料・特定保険医療材料(医薬品・医療材料の価格)によって構成されており、実は処方箋でよく目にするものです。

これらは厚生労働省によって定められており、原則2年に1回改定されます。また、薬価については2021年度から毎年改定されることになります。つまり、薬局側では、調剤報酬を自由に設定できないのです。薬局においては、このような規制の中で事業を行っていくことが前提になりますので、診療報酬改定にも注意しなければなりません。

次回は診療医療費をもとに薬局のマーケットについて考察します。

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