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税理士にこそお勧めするM&Aマッチングプラットフォーム「M&Aプラス」

基礎知識・ノウハウ

M&A

 昨今、税理士業界でもM&Aについての書籍・雑誌やWEBコンテンツ、セミナーなど数多くのメディアで取り上げられています。また税理士の皆様もM&A専門会社からアプローチがあるのではないでしょうか。今回は税理士がM&A業界に求められている理由やどのように関わっていけばよいのかについてお伝えさせて頂きます。

なぜ税理士はM&Aビジネスへ参入すべきなのか

 M&A専門家にとって最も重要な情報とは、対象会社の具体的な状況や財務情報です。しかしこれは飛び込みで企業へアプローチしてもすぐに情報として得るのが非常に難しい機密情報となります。しかし税理士は中小企業の身近な経営相談役としての地位を確立しており、企業の財務状況や後継者有無を事前に知ることのできる貴重な存在となります。

 この点において税理士は他のM&A専門会社と比較しても大きなアドバンテージを得ていると言えるでしょう。

 もちろん参入することによるアドバンテージがあるだけではありません。今、中小企業の多くは事業承継問題に悩んでいると言われています。2020年ごろから中小企業経営者に多い団塊の世代が70歳近くになること、そのうち後継者不在企業が約半数を占めることなどから中小企業庁も2025年までに累計で650万人の雇用、22兆円のGDPが失われる可能性があるとして警笛を鳴らしております。

 実際、2021年中小企業経営白書内に掲載されているM&A件数の推移においても2020年はコロナの影響を受け減少したものの2011年から右肩上がりに上昇しており、現在では年間4,000件以上と言われています。これは、もともとM&Aと言えば上場企業が行っている施策という認識や「身売り」、「敵対的買収」といったイメージがあり、中小企業経営者にとって無縁もしくは悪い印象がありました。しかし上述した事業承継問題に直面した経営者は事業や雇用の継続を望む中で、第三者へ会社を引継ぎでもらうという事業承継型M&Aという手段を取ることが多くなり、今では中小企業M&Aに関するニュースやインターネット記事、TV番組などでも取り上げられるようになり一般化しつつあります。こういった流れを受け、中小企業向けのM&A専門会社も年々増加している状況です。

 しかし残念ながらM&A専門会社の中には大きな報酬を得ることを最優先としてM&A取引を進める会社が存在しているのも事実です。こういった市場の状況に危機感を覚える中小企業庁も2021年4月に策定した「中小M&A推進計画」内で士業専門家によるM&Aへの関与を推し進めていくとしております。士業の場合、多くが中小企業支援に重きを置いており、経営統合後のサポートまで可能な専門家として利益最優先でない本来の第三者承継が実現できると考えられているのです。そういったこともあり税理士はまさに国からも顧問先である中小企業からもM&A業界からも求められています。

税理士がM&Aに知見を持つことのメリット

 現在、30,000近くあるといわれている税理士事務所の中で、中小企業庁が管理するM&A支援機関登録されている事務所数はわずか600件ほどと、全体の約2%程度しかありません。

 税理士業界では15年ほど前から差別化を意識した動きが活発になっておりますが、その中で他事務所がほとんど参入していないM&Aビジネスに本格参入することで他事務所との差別化が大きく図れるのではないでしょうか。

 またそれ以前の問題として、顧問先である中小企業経営者が高齢化を迎える中でM&Aの知見があるとないでは全く違った状況となります。M&Aの知見がないと顧問先に判断されれば、大手M&A仲介会社や金融機関などから会社売却を進められいつの間にか顧問を失うといったことが想像されます。M&Aに知見があると顧問先に認識していただくことで、事前に論点を整理しM&Aを円滑に進めることで買収先企業側から継続して当該企業の顧問を受けるといったこともありえます。そういった意味でもぜひM&Aに対する知見を持つこと、また顧問先への周知徹底も行っていただきたいと願っております。

税理士がM&A支援を始めるにあたりおこなうべきこと

 まずはM&Aの対象になりそうな顧問先がどこなのかを常にモニタリングする仕組みを作る必要があります。基本的には職員の方が顧問先の支援をおこなっている中で、そうそう顧問先側から会社を売りたいといった相談を受けることは多くありません。そこで、事前に財務や後継者有無の状況、リタイア後にやりたいことなど日常の顧問先とのやり取りの中から把握し管理しておく必要があります。具体的な売却提案については職員からではなく代表の税理士かM&Aの知見を持った担当者から提案するのが良いでしょう。

 M&Aの担当者については、M&Aビジネスに参入する前段階では一通りM&Aに関する大まかな流れやスキームの違い、中小企業M&A特有の論点などの学習は必要となります。おすすめは当社が運営しているデロイト トーマツ アカデミーのプロフェッショナル養成講座です。こちらはデロイト トーマツ グループで中小企業向けにM&A業務を提供している専門家が講師として座学ではなかなか聞けない実体験を踏まえた講座となっております。また講義や書籍等で学ぶだけでは実践で生かすことも難しいので、まずは数件、関係性のあるM&A専門会社とともに案件を進めるのが良いかと考えております。

 また必要な素養やスキルに関しては、案件を遅延なく遂行するためのプロジェクトマネージメント力やニーズを引き出して話をまとめるためのコミュニケーション力、企業価値を論理的に算出し説明するための財務分析力やロジカルシンキングなどが必要となります。こういった人材は既存職員の中で営業力のある方や、それが代表税理士の場合は税理士本人が担うのが良いでしょう。しかしそういった人材がいないもしくは他業務で忙しく配置転換が難しい場合には外部、特に地域金融機関や信用金庫出身の営業人員を別途雇用すると良いでしょう。

税理士がM&Aに関与する際に活用をお勧めする「M&Aプラス」とは

 「M&Aプラス」はデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社が運営母体の、M&A専門家にフォーカスしたM&Aマッチングプラットフォームです。全国680社を超えるM&A専門会社がそれぞれのM&A案件の情報を掲載し、売手側専門家と買手側専門家をマッチングするサービスです。

① M&A専門家に特化したクローズド型のマッチングプラットフォーム

 まず何よりの特徴として業界唯一のM&A専門家に特化したクローズド型のマッチングプラットフォームであることです。誰でも閲覧可能なプラットフォームにM&A案件を掲載してしまうと同業者や最悪の場合、従業員に売却しようとしていることが事前に知れ渡ってしまうリスクがあります。M&Aの場合、こういったことが致命的なミスとなりM&Aを実行する前段階で会社が崩壊してしまうような事例も多く存在します。そういった点で「M&Aプラス」は会員登録したM&A専門家のみ閲覧できるプラットフォームなので、顧問先の売却情報が公になることも少ないと言えるでしょう。

 また売手、買手自身が直接M&A取引を進めることは法律上特段問題ありませんが、M&Aには様々な論点がありその分だけリスクが存在します。代表的なものでは、専門家を挟まずに進めることによって、M&A取引が円滑に進まない場合や、取引完了後に簿外債務や労務管理に重大な問題が出たなどで多大な損失を被るなどがあります。M&Aの場合は売却した後、買収した後のことを入念にシミュレーションする必要があり、そういった点ではM&A専門家が売手買手の間に入ることで事前にそういったリスクを避けることが可能です。

② デロイト トーマツ グループの審査を通過した専門家のみM&Aプラスへ登録可能

 M&A専門家と言っても業務範囲や経験など担当者によって様々です。M&Aプラスでは登録できる専門家を審査制とし、デロイト トーマツ グループが承認した専門家のみ会員登録が可能という仕組みを取ることで安心安全な取引ができるマッチングプラットフォームとして運営しております。顧問先からM&Aの相談があった場合に税理士にM&Aの知見や業務経験がなかったとしても、デロイト トーマツの審査を通過したM&A専門家と共同受任する形で案件を進行することができます。また一部業務をアウトソーシングすることも可能ですので、これからM&A支援を始めたい方にも最適なプラットフォームです。

③ M&A案件のサイズは譲渡金額数千万円~1億円前後がメインボリューム

 「M&Aプラス」は日本全国のM&A専門家がご活用いただいていることもあり、掲載されている案件サイズは専門家へ手数料がお支払いいただけるような規模感であることがほとんどです。他社のプラットフォームでは売手買手が直接取引できることもあり数百万円の譲渡案件が割合として最も多くなっておりますが、「M&Aプラス」の場合は譲渡金額1億円前後の案件が主となっております。中小企業M&Aのサイズ感として大きすぎず小さすぎず税理士の顧問先で最も多い適度な案件サイズであることも「M&Aプラス」の特徴です。

全国680社以上のM&A専門家と繋がる「M&Aプラス」

 「M&Aプラス」は売却相談を受けた顧問先の情報を極力外部に流出することなく多くの潜在的な買い手へアプローチできます。もちろん買収ニーズをお持ちの顧問先に対して具体的な売却案件を全国の案件の中から探索しご提案することもできます。 いくらM&A専門家として周知しても具体的な案件情報がなければ話が進みませんので、そういった意味ではひとつのM&A会社と提携し情報交換するよりも日本全国680社以上のM&A専門家と繋がることで情報の幅も広がり顧問先にとっても最適なご提案ができます。

 また、専門家が数多く登録していることで、M&A業務の一部を他の専門家に依頼することも可能です。よくあるケースでは、「株式譲渡契約書の作成業務を弁護士に依頼」や「財務DDを公認会計士へ依頼」などです。こういった業務はM&Aに精通しているかしていないかによって顧問先やM&Aの相手方にとっても大きな影響を及ぼします。M&Aに精通した各種専門家が存在するのも「M&Aプラス」ならではです。

 今回は税理士にとってM&A支援に参入するメリットや「M&Aプラス」を活用するメリットなどを解説いたしました。先述しましたが税理士業界でM&A支援に参入している事務所は全体の2%程度です。ぜひこのコラムを読んでいただいた方がM&Aへご興味を持っていただき、さらには「M&Aプラス」を活用して中小企業の事業承継課題の解消につながることを願っております。

執筆者
デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社
イノベーション FAプラットフォーム
シニアヴァイスプレジデント 宮川 文彦

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