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コーポレートファイナンスとは

基礎知識・ノウハウ

M&A

何かしらの形でM&Aに携わる際に、「コーポレートファイナンス」という言葉を耳にされる方もいらっしゃるかと思います。今回はM&Aへの関わりも深い「コーポレートファイナンス」の概要について解説します。

1.コーポレートファイナンスとは

コーポレートファイナンスとは、企業価値を最大化することを目的に、資金調達・事業への投資、調達元への返済・還元を検討・実行する活動のことを指します。また、新株発行やIPOのように、事業に必要な資金を金融市場から調達するための活動を含むこともあります。

企業にとって、財務戦略・資金調達(コーポレートファイナンス)は事業戦略と両輪としなければならない領域であり、「企業価値の最大化」という目的から、M&Aの場面でも登場することが多くなっています。

2.M&Aにおけるコーポレートファイナンスの意義

コーポレートファイナンスは、M&Aの場面では主にバリュエーションに関して大きな役割を有しています。

コーポレートファイナンスの世界では、企業価値はその企業が将来キャッシュフローを生み出す実力で評価されます。コーポレートファイナンスにおける企業価値(事業価値)評価には様々な手法がありますが、その中でも「DCF法(ディスカウント・キャッシュ・フロー)」が最も理論的であるとされ、M&Aの場面でも広く使われています。

DCF法とは将来見込まれるキャッシュフローを基に、有利子負債資本や株主資本にかかるコストなどによって算出される割引率を用いて現在価値を算出する方法です。

DCF法では、企業価値を算出する為の「事業価値」を算出することができます。つまり、事業自体が生みだす将来キャッシュフローを基に現在価値を算出することで「事業価値」を導き、それに非事業資産を個別に時価評価した「非事業価値」を加算し、「企業価値」を算出します。

※ 企業価値 = 事業価値(DCF法で算出) + 非事業価値(個別に時価評価)

そのため、キャッシュフローを増加させる(取引先の拡大、コスト抑制など)、もしくは割引率を低下させる(金融機関借入の金利低下、最適資本構成の検討など)ことにより企業価値の最大化を図ることができます。

3.コーポレートファイナンスにおいてROAではなくROICが重視される理由

企業の総合力を示すうえで重視されることの多い「ROA(総資産利益率)」は、営業利益を総資産で割ることで算出することができます。企業の全資産を使ってどれくらいの収益を生んでいるのかを計ることが出来るため、企業の収益性・効率性を示す指標として広く知られています。

※ ROA(総資産利益率) = 営業利益(当期純利益) ÷ 総資産

一方で、コーポレートファイナンスの世界では、「ROA」ではなく「ROIC(投下資産利益率)」が重視されることが多くあります。「ROIC」は税引後営業利益を、純粋に事業に投下されている資産(事業投下資産)」で割ることで算出できます。

※ ROIC(投下資産利益率) = 税引後営業利益(NOPAT) ÷ 事業投下資産

先述のように、DCF法では事業価値と非事業価値を分けて算出します。ROAは分母が「総資産」であるため、指標の算出に非事業用資産の価値が含まれることになります。一方ROICは事業用資産のみを分母に用い、分子も税引後営業利益になるため、純粋な意味で事業に投下した資本に対する儲けを示す指標として、DCF法との親和性が高いと認識されています。

4.まとめ

コーポレートファイナンスは、企業戦略を図るうえで非常な重要な役割を持っています。M&Aの場面でも、企業価値を最大化する、もしくは適正な価値を判断するという意味において大きな示唆を与えてくれることになります。

当然ながら、コーポレートファイナンスに基づいた企業価値評価を実施するためには、専門家へ依頼をすることが非常に重要です。 「M&Aプラス」には、財務分析に精通したアドバイザーが1,000名以上集結しています。第三者承継やM&Aに関して、譲渡価額や投資目線に悩まれた際は、まずは当社までお声がけください。当社のネットワークを通じ、より公正・公平な条件下でのM&A検討の機会の提供が叶いますと光栄です。

執筆者
デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社
イノベーション FAプラットフォーム
シニアアナリスト 牟禮 貴史

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