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ホテル・観光業界のいま ~増える倒産、廃業とM&A~(前編)

基礎知識・ノウハウ

M&A

1.出張族の私とビジネスホテル

私は10年間以上、日本全国毎年多くの地域を出張で訪れてきまして、自慢でもありませんが、気づけば47都道府県すべてを制覇しておりました。そして当然それぞれの地域で多くのホテルに宿泊いたしました。

時には過酷なスケジュールで、1日5件近くのアポイントや合間の移動で疲れ切る体には、夜の憩いの場となるホテルは非常に重要であり、初めて訪れる地域では某予約サイトのレビューを参考に、宿の良し悪しの見極めに特に気を使ったものでした。

稀にですが、想像と違うホテルに宿泊することになってしまったとき(古い、狭い、壁が薄い、周りにお店がないなど)は、気分が落ちてしまいお酒を飲んではすぐに寝るようにしたものです。

もちろん仕事での利用なので高級なホテルや旅館などではなく、主にチェーン展開している安価で利用可能なビジネスホテル中心ですが、何度も訪れていると自然とお気に入りの定宿が出来るものです。

私は個人的に以下のような条件で「お気に入り」を決めていました。

・開業から10年以内で、外観も室内も程よく綺麗
・立地は、お客様への訪問の拠点となるような交通の便が良く、繁華街も近い場所
・周辺には飲食できる店が適度にあり、またホテルすぐ近くにはコンビニがある(これは大事)
・室内にはPC仕事ができるデスクがあり、ユニットバスにはコンセントがある

以前は上記に加えて大浴場が付いていればなお良かったのですが、途中からは結局あまり利用していない自分に気づき、条件からは外れております。

そんな私の愛するお気に入りホテルたちも、ここ数年は世間の大きな流れに振り回されています。

インバウンド需要の増加に伴う好景気到来(個人的にはホテルの予約困難時期)⇒その後の供給過剰による価格競争勃発⇒東京オリンピックに向けた建設ラッシュの再加熱⇒新型コロナウイルスによる業界全体の大ダメージ、と今に至る状況です。

ここからはホテル、旅館業界の現状と、今後予測される廃業やM&Aの増加などについて詳しく話をさせていただきます。

2.ホテル・旅館業界の定義

厚生労働省健康局生活衛生課「旅館業法」によると、旅館業とは「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」と定義されており、「宿泊」とは「寝具を使用して施設を利用すること」とされています。

旅館業は「人を宿泊させる」ことであり、生活の本拠を置くような場合、例えばアパートや間借り部屋などは貸室業・貸家業であって旅館業には含まれません。

また、「宿泊料を受けること」が要件となっており、宿泊料を徴収しない場合は旅館業法の適用は受けないということです。

なお、宿泊料は名目のいかんを問わず実質的に寝具や部屋の使用料とみなされるものは含まれます。例えば、休憩料はもちろん、寝具賃貸料、寝具等のクリーニング代、光熱水道費、室内清掃費も宿泊料とみなされるということです。

旅館業にはホテル営業、旅館営業、簡易宿所営業および下宿営業の4種があります。

(1)ホテル営業
洋式の構造及び設備を主とする施設を設けてする営業である。

(2)旅館営業
和式の構造及び設備を主とする施設を設けてする営業である。いわゆる駅前旅館、温泉旅館、観光旅館の他、割烹旅館が含まれる。民宿も該当することがある。

(3)簡易宿所営業
宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を設けてする営業である。例えばベッドハウス、山小屋、スキー小屋、ユースホステルの他カプセルホテルが該当する。

(4)下宿営業
1月以上の期間を単位として宿泊させる営業である。

旅館業を経営するものは、都道府県知事(保健所設置市又は特別区にあっては、市長又は区長)の許可を受ける必要があります。

旅館業の許可は、旅館業法施行令で定める構造設備基準に従っていなければなりませんし、旅館業の運営は、都道府県の条例で定める換気、採光、照明、防湿、清潔等の衛生基準に従っていなければなりません。

3.ホテル・旅館業界の動向

日本政府観光局(JNTO)の「訪日外客数の動向」によると、2019年の訪日外客数は3,188万人と、引き続き高い増加率で過去最高を記録しています。

1990年代から2012年ごろまでは1000万人を超えることなく推移してきて、リーマンショックや東日本大震災の影響で一時的には落ち込んだものの、2013年以降はインバウンド需要の影響で急激に伸びてきました。

2019年以降も東京オリンピックなどによるさらなる需要拡大も見込んで、東京、大阪、京都などでは外資系ホテルや異業種からの参入による新規建設ラッシュが進んできました。そのような流れの中、2020年は新型コロナウイルスの影響でこれまで誰も想像しなかったような状況にホテル、旅館業界はさらされています。

同じく日本政府観光局(JNTO)のデータによると、ここ数ヵ月は前年対比での訪日外客数はマイナス90%台後半を推移し続けており、2019年1月~11月の総数は約2,935万人だったのに対して、2020年1月~11月の総数はわずか約405万人程度という状況です。

これまでは都内や観光地の繁華街を歩けばどこも外国人観光客で溢れかえっていたのが嘘のように、今は飲食店や土産店、宿泊施設も閑古鳥が鳴いて寂しい風景が広がっています。地域の皆さんは一刻も早くまたあの賑わいが戻ってくることを切望しながら、じっとこの状況を耐えているのが現状です。

私も各地域のお気に入りホテルたちが無事にこの困難を乗り切ってくれることを願っています。

前編では、ホテル・観光業界の定義や最近の動向について話をさせていただきました。後編ではホテル旅館業界で増加している倒産や廃業、M&Aについて話をしていきます。

執筆者
デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社
イノベーション事業部 FAプラットフォーム
シニアヴァイスプレジデント 宮川 文彦

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