コロナ禍におけるM&Aマッチングプラットフォームサイトの変化

2020/11/23

レポート

新型コロナウイルスの感染拡大により、国内外の幅広い経済活動に多大な影響が発生しており、M&Aに関しても国内大型案件やクロスボーダー案件を中心に、大幅な市場縮小が予想されています。

経済全体が冷え込みを見せる中、国内の中小企業を中心としたM&Aマッチングプラットフォームサイトはどのような状況となっているのでしょうか。

今回はコロナ禍におけるM&Aマッチングプラットフォームサイト（当社運営サイト：「M&Aプラス」）を取り巻く環境の変化を解説します。

1.　マッチングプラットフォーム「M&Aプラス」の現況

まず全体感から申しますと、今年の春先以降当社「M&Aプラス」は非常に活況となっており、会員数、登録案件数、マッチング数の全てで過去最高を更新し続けています。

自粛期間等によりスマートフォンやパソコンなどの情報端末に触れる機会が増えたことによりアクセス数が増加し、幅広い業種、規模、エリアの案件のご相談をいただく機会が増え、案件掲載後速やかに他会員様からのアクションが発生するという良い循環が起きています。

以下、会員様の立ち位置ごとにM&Aマッチングプラットフォームに対する方針の変化を考察していきます。

2.　譲渡をご希望の会員様

新型コロナウイルスにより財務が悪化し、至急な対応先として第三者承継を選択肢に加える企業様もいらっしゃいますが、より顕著なのは、業況は大きく変動していないもののM&Aによる譲渡を新たに検討される企業様が増加しているという点です。

相談主の方々に背景を伺うと、コロナ禍において商流が一時的に停滞した際に、自身の事業承継について具体的に検討を進められた経営者が一定数いたとう事情が見えてきました。

これまで「自分が倒れるまで走り続けるしかない」と考えていた経営者が、自粛期間等に自身の企業の承継を俯瞰した結果、「動けるうちに第三者承継を検討しなくてはいけない」というマインドの変化が生じたというのです。

「M&Aプラス」上には、新型コロナウイルスの影響を直接受けている企業様/大きく受けていない企業様のいずれからも、譲渡のご相談を受ける機会が増えています。

3.　譲受をご希望の会員様

当然ながら、ほとんどの譲受希望企業はコロナ禍でM&A戦略を大きく転換していますが、先述の通りM&Aプラスでは企業買収に関するご相談数は過去最多となっています。

新型コロナウイルスの影響が顕在化するまでは、既に国内景気の停滞感はあったものの、中小企業への買収意欲は非常に旺盛でした。当時は「幅広く譲渡希望情報を集め、その中からシナジーが期待できる先を選定する」というニーズが多く、「エリア不問で黒字企業の譲渡希望情報を全てください」という相談をいただく機会もありました。

一方茲許では、極めて戦略的で具体的な買収ニーズをお預かりする機会が増加しています。コロナ禍の影響を大きく受けていない企業・財務的に体力のある企業を中心に、再考したM&A戦略に基づいてピンポイントなマッチングを模索する動きがマッチングプラットフォーム上でも顕著になっています。